マニュアル・リンパドレナージとは
『マニュアル・リンパドレナージ』(以下MLD)は、リンパ液を流すことに特化した特殊な手法です。
その流れは通常の約20倍にも加速させることができると言われています。
オイルやパウダーなどは使用しません。お肌に直接触れ、皮膚のすぐ下0.3mmのところから始まる「毛細リンパ管」に優しくアプローチします。
毛細リンパ管には、水分を取り込む入り口があります。
MLDでは、意図的にその入り口を開け直接水分を吸収させることができます。
ただし、押したり揉んだりしてしまうと毛細リンパ管が潰れてしまい、十分に水分を取り込むことができません。
また、血管から余計な水分が滲み出てしまいます。
(強いマッサージにより、余計に浮腫んでしまう方が稀にいらっしゃいますが、このような理由が原因の場合があります)
むくみの原因となっている水分や老廃物を効率よく流すには、この「押さない・揉まない」血流を刺激しないことがポイントです。
MLDのメリット
①効果的なデトックス
通常のリンパドレナージュでは圧がかかり、血流は改善されますが、余分な水分や老廃物が血管から滲み出てしまい、リンパのスムーズな流れを妨げます。
一方で、MLDは圧をかけずにリンパ管に老廃物を直接吸収させるため、より効果的な排出が可能です。
②痛みの軽減
老廃物と同時に炎症物資も流してくれるので、痛みの緩和にも役立ちます。
圧をかけずに施術できるため、痛みのある部位に直接アプローチできるのもMLDの大きなメリットです。
③心の安定
MLDのソフトなタッチと緩やかな手技は、ゆっくりとしたリズムで行われ、副交感神経を優位にしリラックス状態を促します。
これにより、精神的な安定感が得られます。ストレスや睡眠のお悩みを抱える方にもおすすめです。
(当店が行うマニュアル・リンパドレナージによる施術は、治療を目的としたものではありません)
MLDの歴史
1932年 : デンマークのエミール・ボッター博士と、その妻によってマニュアルリンパドレナージが開発される。
1932年〜1940年代 : 初期において、風邪や副鼻腔などの疾患に対する治療法として採用され、その後リンパ浮腫に対する有用性が発見される。
1950年以降 : マニュアルリンパドレナージが医療分野に導入され、特にヨーロッパで広く受け入れられる。
1950年代〜1970年代 : アメリカやカナダでも注目を浴び、広まる。
1980年代 : 日本の美容業界にも、美容や健康の一環として導入される。
1980年代において、日本におけるマニュアルリンパドレナージの普及が進まなかった主な理由は、当時のリンパの解明が血液に比べて進んでおらず、マニュアルリンパドレナージを正しく理解し、その手法を適切に伝えられる専門家が不足していました。
結果として、情報伝達が「伝言ゲーム」のようになり、マニュアルリンパドレナージが日本独自の手技に変化してしまったのです。
この変化した手技は、エステや美容業界において一般的な「リンパドレナージュ」として採用されることとなりました。
MLDはリンパドレナージュの元祖?
MLDは〝リンパドレナージュの元祖〟と言われる一方で、本来のMLDは、①圧をかけないこと、②オイルを使用しないことに重点が置かれています。
そのため、日本独自の手法は本来のマニュアルリンパドレナージからの逸脱が生じており、異なるアプローチと言えます。
私は、この変化してしまった歴史的な経緯を踏まえ、MLDの特別なアプローチやその素晴らしさを、まだ知られていない側面も含めて多くの方々に共有するために、MLD専門店を立ち上げました。
日本では現在、医療現場でもリンパ浮腫の治療として採用されておりますが、リンパ浮腫の治療と混乱を招かないためにも、責任を持ってお客様と向き合い、施術に務める必要があると思っております。